
本研究の目的は、イスラームにおける知の構造とその変容を、主として思想史研究の手法を用いて明らかにすることである。もちろん、イスラーム世界のように高度かつ複雑な知識社会に関して、「知」にかかわるすべての側面を視野に入れることは不可能である。したがって、本研究では、知の範囲を「思想」や「学問」として体系化された知に限定して、それらの領域における知の意味や構造、変容などを検討する。また、イスラーム内部の分派であるシーア派(12イマーム派)やイスマーイール派などに着目することで、イスラームにおける知の統一性/多様性を明らかにする。イスラームに「固有」な知とは何か、それは現代イスラーム社会の理解にどのような意味をもちうるのかは、より包括的な議論の場に委ねるべきテーマであるが、本研究はその議論のための素材提供を主要な目的とする。
本研究の構成員の専門は、クルアーン研究、哲学、シーア派、イスマーイール派などの思想研究である。
- クルアーンやハディースなどの聖典における知の位置づけを明らかにする。この際には、ムスリムによる聖典解釈の伝統を重視するとともに、分派ごとの差異にも注目する。
- 学問の分類とその理念を明らかにする。このために、主としてアラビア語で記された書誌目録、百科全書、学者列伝、教育書などを収集し分析する。
- それぞれの思想・学問における知の特徴(知識論)とその変遷を明らかにする。この際には、研究構成員の専門分野を中心にしつつも、イスラームにおける主要な学問領域が網羅されるように配慮する。
- 現代イスラーム社会における実態把握を重視し、現地調査を実施して、研究状況の把握やムスリム研究者との連携を強化する。
- 早稲田拠点に属する他のグループと連携して、思想史以外の視点や研究手法を吸収するとともに、時代的・地域的な広がりを意識して研究を進める。

- 小林春夫(東京学芸大学・教授)

- 大川玲子(明治学院大学・准教授)
菊地達也(神田外語大学・准教授)
野元晋(慶応義塾大学・准教授)
吉田京子(東京大学・GCOE「死生学の展開と組織化」特任研究員)




















































